賃貸住宅の騒音について

苦情の件数でもダントツの1位

 毎日様々な電話・メールが届きますが、その中でも騒音に関する苦情の連絡はダントツの1位です。多いときはメールだけでも、数件届きます。

 

 一般的な騒音に対する管理会社の対応方法としては、

①賃貸住宅全戸に対し、騒音に対する一般的な注意文の配布

②改善がない場合は、騒音の部屋に対し注意文の配布又は電話での注意

③それでも改善がない場合は、直接の訪問での注意

④最終的には騒音に対する念書又は覚書して注意勧告

⑤上記書面に基づき退去をしてもらう

 一般的な対応としてはこんな感じになります。

 騒音といっても内容も様々で今回は比較的解決しやすい内容から説明していきたいと思います。

 

1,学生などの一人暮らしで、友人を大勢呼び騒ぐ・話し声

 初めての一人暮らしや、比較的学校に近いところに賃貸住宅を契約した人、サークルなど交友関係の広い人に多い苦情です。

 この場合は明らかに、入居者に非があるため注意も行いやすく、未成年の場合などについては親御さんに連絡をして注意をしてもらいます。比較的簡単に解決できるケースが多いです。また、注意しても改善がない場合は、管理会社としても退去させやすい事案です。

 

2,深夜の音楽・掃除機の音・夜中の洗濯・ドアの開閉・足音

 この場合は2パターンあって、ただ単に夜遅くに掃除機や洗濯をする人と勤務時間の関係(夜勤など)の場合とで対応が変わってきます。前述の場合は、あくまで最初はお願いになりますが、時間帯変えて洗濯・掃除をしてもらう。後述の場合は、騒音元と苦情を言われている方双方に理解を求めるようにします。ドアの開閉・深夜の音楽に対しては、やめてもらうか音量を下げてもらうようにお願いします。

 足音については、意外と騒音元の方が気付いていない場合が多く、連絡を入れると本人も意外なせいか、非常に驚かれます。場合によっては注意したことにより怒り出す方も少なくありません。まずは事実を伝え、騒音元には注意してもらうようにして、苦情を言われた方には、注意したので様子をみて欲しいとアナウンスします。

 

3,子供が騒ぐ・泣き声

 この辺から対応に注意が必要になってきます。活発なお子さんというのはいつの時代もいます。それに元気なお子さんに騒ぐなといっても、理解できないですし、親御さんも子供のやっていることだからと、なかなか理解されません。これは賃貸住宅での単身用よりファミリー世帯に多い苦情です。お互い子供を持つ親であれば、解決も早いのですが、最近は生活スタイルも多様化しており、DINKSも多いためケースバイケースですが、一概にこれという解決策はなく、事案ごとに対応が異なります。

 

4,番外編

 正直この苦情が一番注意しにくい内容です。

 ずばりっ! 「男女の〇〇〇がうるさいっ!」というもの

 これは、管理会社としては非常に何だいな苦情です。なんて言えばいいのか悩みます。内容も、内容だし、このことを伝えることによって、あなたの声が大きいですよって言われた方も・・・

 また、これは実際にあった苦情ですが、隣に若い女性が契約していて、その隣に入居して来たのが、無職のおじさんでした。

 おじさんから電話があり、「夜に何かモーターの音がするし、隣の女性が悲鳴を上げている。僕は助けてあげたい。」って・・・

 よくよく調べていくと、その女性の彼氏が遊びに来た夜に毎回そうだと・・・

 

 そりゃ、あなた・・・ 若いカップルが夜一緒にいたらね・・・ ねっ・・・

 この時は、それとなくその女性に伝えたところ、女性も察したのでしょう。

 その後程なくして退去していきました。

 

5,法的な考え方

 騒音に対して、民法的な考え方としては、民事裁判において損害賠償請求をすることになりますが、どのような不法行為を相手方が行ったのか、騒音の解決について管理会社にどのような債務不履行責任があったのかなど、訴える側が立証しなければなりません。このように書くと簡単ですが、実際に行うのは非常に難しく、実際のところこのような騒音で訴訟に発展することは殆どありません。

 理由としては、苦情を言われる方は、騒音元よりも管理会社の責任を言われる方が多いのですが、本来騒音を出している騒音元が原因なのに、騒音が収まらないのは管理会社の責任だと言って、管理会社を訴えるぞって言われます。しかし、管理会社が全く何も対応していないケースは非常に少なく、債務不履行責任があるとまで言えない場合が殆どです。

 大抵の場合は、対応したけど十分ではなかった(不完全履行)という扱いになり、当初の損害賠償請求額よりかなり減額される場合が多いです。

 民事調停の場合はまた違ってきますが、苦情を言われた方の時間と労力を考えると割が合うものではないと思います。

 

 以上、長くなりましたが読んでいただきありがとうございました。